IT業界の仕組み IT派遣

昨今、景気の悪化からIT業界がひどいことになっているので、
この記事を書くことを思い立ちました。


まず、IT業界ってどうゆう仕組みになってるの?
という素朴な疑問を大手企業の開発構造を例に簡単に説明します。


【大手企業の開発構造】

大手企業A「この不景気の中、仕事を受注したが社員だけでは回らない仕事だな。
社員+派遣で回すか。」
中小企業B「是非やらせてください!」
中小企業C「是非の是非!」
大手企業A「ではBさんお願いします。大体予算はこれくらいでメンバー4人お願いします。」
中小企業B「了解しました!ではメンバーを集めます!」
中小企業B「Cさん、あなたの会社からもメンバーを出したいですか?」
中小企業C「是非の是非!安くてよいのでお願いします!」
中小企業B「ではうちからは2名出しますので、Cさんも2名お願いします。」
中小企業C「喜んで!」

という段取りになりました。さて、金額でいうと一体どれくらいなものなのでしょうか?


AさんからBさんへ頼むのが仮に400万円とします。
大体Aさんは1名100万円と想定しているということですね。
しかし実際はBさんから2名、Cさんから2名出しているので、BさんからCさんへ頼むのが200万ならみんなハッピーですが、世の中そんなに甘くありません。
Bさんは中間マージンを取ります。俗に言うピンハネですね。
Cさんは中間マージンを取られているのは承知な訳ですが、Bさんが貰っている金額はわからない訳です。
なので、Bさんがひどい会社であればあるほどピンハネ率は上昇します。
BさんはCさんに150万でお願いしたとします。
すると、あら不思議。Cさんのメンバーは100万円の仕事を75万円で行うことになります。


上のような例は実に簡単な構造ですが、実際にはBさんの取引会社が数社に渡り、更にCさんの会社が別の会社から呼んだメンバーを自分の会社だと偽っていたなんてこともざらにあります。

大手企業A「よし!このメンバーならこの仕事はうまくいくぞ!」
〜〜〜 3ヵ月後 〜〜〜
大手企業A「なんてこった!赤字プロジェクトになってしまった!何がいけなかったのだろう?やはり技術者のレベルが低かったのかな?」



Aさんは困っていますね、伝言ゲームになっているのと金額が下がっているのと、
なんの関連性もない人をそれぞれの会社がそれぞれの思惑で適当に集めたので、当然それに見合った技術者しか集まりません。日本の技術力はどこへやら…。


では、Bさん、Cさんのような中小企業はどのような構造になっているのでしょうか?


【中小企業の仕組み】

中小企業C「Bさんへメンバーを手配したからしばらくは安泰だ」
〜〜〜 3ヵ月後 〜〜〜
中小企業C「メンバーが2名戻ってきてしまった!困ったぞ、この不景気で仕事がない!」
中小企業C「仕方がない、次のプロジェクトを探しつつ、しばらく会社で別の事務処理をやってもらおう」
〜〜〜 1ヵ月後 〜〜〜
中小企業C「次がみつからないな、売り上げが下がっていることだし減給しよう…」
〜〜〜 1ヵ月後 〜〜〜
中小企業C「むむ、困ったな、まだみつからない。仕方がないから新しくできた国の保障制度でメンバーを養おう」



というように国の保障制度を利用するようになります。
2009年9月の段階でこの保障制度を利用している人は約5%らしいです。
つまり失業率約5%とあわせるとなんと約10%の人が仕事を求めている状況なんです。
約10%という数字は仕事を探している人が、あなたの周りで7人に1人の割合でいるということ。
もっと詳しく知りたい方は調べて下さいまし。


では何がいけないの?と考えるとIT派遣がNGな訳です。
IT派遣という選択肢がなければ大企業は…

大手企業A「この不景気の中、仕事を受注したが社員だけでは回らない仕事だな。断ろうか、社員に頼み込むか。。」

となるし、大企業に群がる中小企業もまともな自社製品を作り出す方向に動き、よりクリエイティブで日本の技術力向上に繋がります。
未だに日本のIT業界が欧米諸国の技術に太刀打ちできないのもIT派遣という仕組みがあるからだと考えます。
そもそもアメリカで普及した契約や派遣の仕組みが、なぜか日本では企業の為の仕組みでしかないように導入されたということ。
全ては派遣制度を導入したこの国の責任ですね。


参考ブログ
IT労働者の貧困を生み出す、中間搾取:「IT派遣」の全面禁止を!